温もりのある自然素材や光と風をバランスよくデザインしたシンプルな和モダンの住宅や別荘をつくります。
根岸達己建築室 代表 根岸 達己
どんな経歴ですか?
東海大学を卒業し、西野建築研究所に5年務めた後独立しました。学生の頃から5年間勤務したら独立しようと決めていました。幼い頃は物作りなど、絵や自分の手で組み立てることが好きでした。ものを作る意欲がとても強くて、図工の授業の前日には眠れないくらいでした。そういった経緯もあり、自然に設計の道に進んでいきました。
修行時代は3日間徹夜で仕事をしたり、食事も仕事をしながら取っていました。今では考えられないですよね。仕事では大きい建物から小さい住宅まで多種多様なものを担当しました。独立する頃は、住宅を手掛けたいという気持ちが強くなっていました。やはり対話をしながら一つ一つ組み立てていくという作業が好きなのです。オフィスなどと違い住む方の顔が見える仕事ですから。
独立後、最初の1年くらいはあまり仕事がありませんでしたが、比較的早く依頼を頂くようになった方だと思います。今のスタイルを確立できたのは、独立後10年くらい経過してからです。それまでは色々と試行錯誤しました。
ハウスメーカーとの違いは?
ウチに来られる約半数の方が、住宅メーカーの展示場などを回って来られたお客様です。住宅メーカーではプランの自由度が少なかったことや、デザイン性に疑問を感じて、最終的にウチに来られる方が多いです。
ハウスメーカーは全国に展示場があり、実物を見ることができるというメリットはありますが、その分、広告宣伝費が住宅の価格に反映されているので、価格が割高になるデメリットもあります。こだわりたい部分に費用をかけ、優先度の低い部分は節約をして、オンリーワンのこだわった住宅を造ることができます。
ときには、土地探しからお手伝いすることもあります。候補にあがっている土地について助言させていただきます。具体的には法規制のチェック、簡単なボリュームチェックを行い、およその形や階数、面積を算出し、購入前に家のイメージをつかんでいただきます。購入後に高さ制限で想定した大きさの建物が建たないといった失敗もなくせます。
他にも、周辺環境から、注意が必要な個所をチェックします。光の入り方や風通し、隣接建物や災害のリスクについても確認します。土地と建物の費用バランスや、ある程度の工事費の予想ができるので、資金計画も立てやすくなります。
設計の進め方は?
まずは、こんな家がつくりたい、こんな暮らしがしたいといった、基本的なご要望をうかがった後、たたき台となる計画案をご提案します。その後、理想の建物に近づける為の作業を、お客様と共同で行います。建物内外のイメージの検討や、光や風の流れなども考えていきます。さらに、収納等の仕様や、ショールーム等に行き、仕上げ材や設備機器も決めていきます。さまざまな可能性を話し合いながら、より良い案をつくっていきます。
最初の提案と協議後の最終形は、まったく違う建物になることも多々あります。じっくり話し合い、何が良いかを検討しながら進めていく過程が大切です。
デザインの特性は?
お客様の要望を組み立てていくという作業がデザインの骨格です。
飽きのこない・日増しに愛着が湧いてくるような建物を目指しています。得意とするシンプルな和モダンのスタイルのなかでは、
和を組み込むバランスを大切にしています。伝統的な和風建築では、現代の生活スタイルに合わなかったり、かしこまった感じも受ける事があります。そこで今の生活スタイルに合った建築にバランスよく和をブレンドすると、温もりが生まれ、やさしい表情になります。住宅は生活の場であり、長い時間過ごす場所、だからそんな和モダンの空間が似合います。
いろいろなものが和と解釈できますが、土や木などの素材そのものや、畳や障子に写る木の影などといった、幼い頃から馴染んできたもの、生活で触れてきたものも和だと思います。和は人によって感じ方は様々ですが、どこか懐かしさやあたたかさ、心地よさを感じます。
生まれてから何度も接してきた和だからでしょうか。それらを住宅に取り入れる考えです。
最終的には、お客様にとって住み心地の良い建物ができれば良いと思っています。
手掛けた建物には思い入れがありますので、引き渡しの時は娘を嫁に出すような少し悲しい気持ちにもなりますね。
現場監理の方法は?
工事中は、お客様の代理者として、設計通りに施工されているかを検査及び指導します。現場に多く足を運ぶことが、後々のトラブルを防ぐ最大の方法と考えています。
また、見積書のチェックも大切です。図面通りの仕様や数量になっているか、価格は適正かを確認することも大切です。
今後はどんな方向に?
やはり住宅を中心に進めていきたいですね。
色々な住宅を作っていきたいです。お客様はみなさん考え方や好みが違いますので、コミュニケーションをとりながら、要望を組み立てて行く作業を大切にしていきたいですね。
まるで学校の先生のように、私の稚拙な質問にも非常に丁寧に噛み砕いて教えて下さいました。昔のイメージでよくある「偉そうな先生」像はそこにはありません。インタビューに伺うときはいつも「初めて対面するお施主様の気持ち」になって取材させて頂いていますが、丁寧に人の話に耳だけでなく心まで傾けて、お施主様との対話に一生懸命に取り組もうとする姿勢に安心感を与えられました。ご自分の自宅をじっくりと対話しながら作っていけるお施主様が羨ましくも感じてしまいましたね。
この記事へのコメントはありません。