アトリエ 137の鈴木宏幸さんが手がける
上棟 / G邸
アトリエ137の鈴木宏幸さんが手がけるG邸の上棟に伺わせて頂きました。今回は特に現場での職人の方々の動きや作業工程に注目しました。
上棟作業
上棟とは一般的に、家の柱や梁に枠組みを組み上げることと言われています。人や地方によって「棟上げ」「建て方」といった呼び方もあります。家づくりにおいての一つの区切りになります。
すでに柱や梁が立っています。ここから屋根の骨組みとなる小屋組を組み上げていきます。安全を最優先にしっかりと確実に仕事をしていきます。
こちらは屋根に上げる部材です。事前に材木工場でプレカットされています。
組み上げられた柱などに補強用の金具が取り付けられています。
柱が垂直になっているかこの機材を使ってチェックしていきます。
施工に関して
用意された部材を効率よく組み上げていきます。柱や梁は、基礎とともに家の根本を支える部分ですので非常に重要な作業となります。仮に柱が傾いていたら、耐震性のバランスが保てない可能性がありますし、床や壁が傾いて暮らしにくくなるかも知れません。こちらの現場では、経験値の高い職人さんたちが、効率よく的確に組み上げていきます。
クレーンを使って部材を上に運んでいきます。
柱を金具で固定していきます。
筋交いを固定する際に先ほどの計器を使って水平と垂直を取ります。
構造用ボードを張って壁を作っていきます。以前は合板が多かったのですが、最近ではこういったハイベストウッドというボードを使います。このボードは合板の約2倍の強度があり、24時間水中に浸漬しても釘接合強度は低下しません。原料は間伐材などを繊維にして熱で固めます。かなり重いようで職人さんはキツイそうでした。
どんどん組み上がっていってます。
金具もしっかり付けていきます。画像を見てわかると思いますが、ネジ頭がプラスやマイナスではないです。ここにも工業製品の進化を見て取れます。
梁の角が斜めにカットされているのが分かるでしょうか。この部分に屋根がかかってきます。
職人の動き
みなさんお分かりでしょうが、現場というのは非常に管理が難しいものです。ただ単に職人を集めて働いてもらえば良いというものではありません。近年は、「家を買う」という行為になったこともあり、どのような仕組みで現場が動いているかわかることも少ないようです。
簡単に今回の場合を説明すると施主→設計者→工務店→現場監督→各職人や設備業者の順となります。下の図を見て頂ければ分かりやすいと思います。
まず発注者であるお施主様が設計デザイナーと協議しながら理想の設計を決めていきます。次にその設計を実現できる工務店を決めます。ここでまず重要な判断が加わります。
本当に設計可能な技術を持っているのか。また工務店が抱えている現場監督は経験豊富で柔軟な対応をするのかということまで考えて判断しなければなりません。実際、現場監督の良し悪しは,家づくりにおける施工のすべてを司っているといっても過言ではありません。
予算管理はもちろん、現場での職人の手配・管理や施工の問題解決まで幅広い対応を求められます。また職人の管理というのも、ただ単に日当を支払って仕事をしてもらうだけではありません。職人が持つ技術力の把握から始まり、施工の問題点を、設計者・職人・資材会社と共に解決策を導いていかなければなりません。
またこの時、設計やお施主様の意図が伝わるようにしっかりと監理するのも設計デザイナーの重要な役割でもあります。
職人さん側は、工期に遅れないように作業を進めていかなければなりません。いわゆる建売住宅と違って、決まり切った作業ではありませんので、しっかり設計者を含めた確認作業をしながら素早く正確な作業が求められます。問題が発生すれば、現場監督にすぐに報告し対応策を協議します。
資材会社は、なぜこの作りや形の資材が必要なのか設計意図を理解し、より効率的で低コストな対応ができないか求められます。ただ単に言われたものを言われた形に作るだけではないのです。
こういったことを現場サイドでは、現場監督・職人・資材会社が協議し、それを設計者が外部視点で監理していくのです。この関係性も含めた技術力・信頼感が良い家を作るのに非常に重要になっていきます。
この日は現場の方々とよくお話させて頂きました。ここではお話できないようなことまで。上棟はある意味家づくりの華と思います。ここで初めて家の形が現れてきます。筋交い一つ、金具一つとっても正確に設置し家の基礎的な部分を決める重要な作業です。技術力の真価が問われる作業でもあります。職人さんに作業に関わる問題点なども大事な要素です。非常に興味深いお話でしたね。
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