アトリエ 137が手がける
地鎮祭 / G邸
子どもの進学に合わせた家づくり
子どもの進学と残された父親の同居を考えての家づくり。どういう経緯で家を作ることになったのか聞いてみました。
ーーーーー都内からの引越しですね。
(お施主奥様)
そうですね。上の子の小学校進学などを考えた時、そろそろ自分たちの家が欲しいと考えました。ただ、都内ですと土地を買って家を建てるとなると、かなりの金額になってしまいます。それなら土地を買うお金を家づくりに回せないかと思いました。
田舎で一人暮らしをしている父親も心配でしたので、田舎の土地を受け継ぐ形でそこに家を建てることにしました。
都内に通勤する夫が大変になるかと思いましたが、実際に電車の移動時間などを調べてみるとさほど変わりませんでした。
ーーーーーいろいろ見て回りましたか?
(お施主奥様)
まず住宅メーカーさんの展示場などを見て回りました。ただ、最初に頂いた住宅メーカーさんの提案は、ただ単にこちらの希望を聞いているだけのようでした。希望を図面に詰め込んでいただけで、住み心地や空間のことはあまり考慮されていませんでした。それでいて金額も結構掛かるようでした。それならと、並行してインターネットで様々な建築家さんの事例をもとに、自分に合った設計を探しました。
もともと平屋の住宅に憧れていて、平屋の住宅を建てられている建築家さんを中心に見ていました。その中でも鈴木さんの設計にすごく惹かれました。色々考えた結果、鈴木さんしかいないと連絡をとりました。軽井沢などに多くの別荘を作られていますが、そのいくつかを実際に見せて頂き、様々な意見やアドバイスをもらいました。
敷地で虫捕りをする息子さん。
ーーーーー初めての家づくりの進め方は?
(お施主奥様)
実際に建てると決めた後に分かったのですが、実家があった土地全部に家を建てられると思っていたのですが、実は半分は農地で半分が宅地で分筆しなければいけませんでした。そういう意味では予定より自由度が下がったのかも知れません。事前に調べなかったせいですね。そしてコロナのこともあり予定が随分遅れてしまいました。
どういう家にするかは、いいろいろ夫婦で話し合ったりしながら決めていくのですが、結局は鈴木さんが提案して頂いた最初の案に戻ったりしていますね。家って生活空間ですので、それをどうすればシンプルで極力生活感が見えなくできるかを考えました。でも小さい子供がいるのでなかなか難しい面もあります。それでもできるだけゆったりとしたリビングダイニングで過ごせるように、中庭に向かった面が大きな全面ガラス窓になるように提案して頂きました。キッチンもオープンになっていて、生活感が出ないように背面に収納を沢山作って頂きました。逆に散らかさないようにしないといけないのでそれがプレッシャーかも知れませんね。リビングの端には、実家で使っていた薪ストーブをそのまま使えるようにしてもらいました。
地縄が張られた敷地。家の形が分かります。
初めての家
ーーーーー不安はありませんでしたか?
(お施主旦那様)
不安も少しありますが、どちらかというと楽しみの方が大きいですね。新しい生活をいろいろ想像しています。
僕は、小さい頃からマンションの生活でした。実家もそうですが、勤め始めてからの一人暮らしもマンションでした。今は賃貸の平家ですが、なにぶん狭いので・・・。
最初の案と今の案は少し違うのですが、提案して頂いたテラスがとても気に入りましたね。リビングも見通せて、外側には緑が見える快適な空間です。
若干変更したのは屋根の形ですね。切妻屋根から寄棟屋根に変更したのですが、そうすると部屋の間取りも少し変更しないといけないとなりましたが、そこは流石にプロですね。しっかり違和感なく収めてくれました。
今回大変だったのが、打ち合わせをしている中、コロナになりコミニュケーションが取りづらかったことです。WEB画面上で確認するのですが、やはり実物を見ないと分かりづらく少し困ったこともありましたね。
家が完成したら、広い庭で芝の手入れをしたりBBQなんかしながら楽しみたいですね。薪ストーブもありますので、薪割りもしないといけませんね。結構こういうのが自分は好きなんですよね。
住宅を設計することの重要性
ーーーーー住宅を設計する上で気をつけることは?
(鈴木さん)
家は、家族が幸せに暮らす器です。建て主のかたが事務所に初めてお越しになって、必ずお話しするのが、「主役は人、そこで暮らす家族です」と。
家族が「笑顔になる」「健康でいる」「成長する」。どういう空間を提供したら、これを実現できるのか、いつも考えていますし、これまでもずっとそんな家をつくってきたつもりです。
そして当たり前のことですが、トラブルのないものにすることです。住宅設計では特に冒険は許されません。私たち建築家はデザイン(意匠)優先と思われがちですが、私自身はカタチを弄したり、写真映えするような表面的なことではなく、シンプルな造形で、日本の自然環境にあった設計をすることを心がけています。これは住宅に限りませんが、本当の意味での美しさとは何かを考え、居心地のよい空間をつくることに注力しています。
Gさんの家は、敷地も広くゆったりとしている反面、周囲からは丸見えといった環境でしたので、プライバシーに配慮した囲みのある空間をご提案しています。
また、三世代が暮らす二世帯住宅ですので、外からのプライバシーだけでなく、世帯間のほどよい距離感も大切にした空間づくりをしています。みんなでくつろぐリビングダイニングや中庭を中心に、お互いのプライベートスペースでの視線の取り方やシンプルな動線計画によって、気兼ねなく過ごせる居心地のよさが長く暮らしていくなかで醸成されると思います。
いよいよスタート!よい家ができるように施工監理もしっかりしていきます。
いよいよ地鎮祭
なんとか持つかと思われた天気ですが、いざ始める頃になって土砂降りの雨。30分ほど待ってからのスタートでした。
画像では分かりづらいですが横殴りの雨です。
まずは敷地に神様に来て頂いてお祓いをします。
次に鍬入れと榊奉納です。
最後に御神酒を頂きます。
雨の中の地鎮祭でしたが、しっかりとお祓いをして頂いたようです。お施主様には初めての体験で新鮮だったようです。
最後に敷地概要を載せておきます。これからどんな建物になっていくか楽しみです。
近年は、省略されることも多い地鎮祭。信仰などを気にされない方も多いせいでしょう。今回思ったのは、そういった神々のことだけではなく、良い家に暮らしたい、質の良い生活がしたいといった思いが、地鎮祭を通じて設計者や施工者を含めた多くの関係者に伝われば、自然と皆さんお施主様の思いに答えようと頑張るのもまた人です。予算の関係もありますでしょうが、こういったことを行うのも悪くないと、お施主様のご配慮で榊奉納もさせて頂きました筆者は思うのです。
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