タマイアトリエの玉井 清さんが手がけたリノベーション
緩やかに繋がる居場所
完成度の高いリノベーション
タマイアトリエの玉井清さんが設計・監理した武蔵野の家のリノベーションが完成しました。
駅から少し歩いた奥まった住宅街の旗竿地に新たな生活がスタートします。
目の前に現れた住宅は、周囲の落ち着いた雰囲気からは一目置かれる存在になっています。現場では、ウッドデッキを仕上げにかかっている大工さんが作業中でした。
玄関の引き戸を開けるとそこは土間兼ガレージスペース。ご主人がバイクを置く場所としても使え、また作業場としても十分な広さを兼ね備えています。
そして右側に住居部分の入口が現れます。格子の引き戸は造作しデザインガラスを使っています。
中に入ると2×4の耐力壁をうまく利用した目隠しが現れ、一緒にご主人と材木店に行き選んだ杉のカウンターの小部屋が迎えてくれます。ここは以前玄関だった場所で、リビングダイニングに入る前室的な役割にもなり、ちょっとしたワーキングスペースにもなります。
さらに奥のガラス戸を開けると広々としたキッチンダイニングが現れます。黒のキッチンが印象的です。明るく開放的ですのでストレスなく料理ができそうです。また背面収納も位置や高さが絶妙です。
リビングダイニングに並行している廊下を通り抜けると、洗面室とお風呂場に入れます。動線が良いですね。お風呂にはこだわりの設備を入れています。また北側には境界から2mほどの余裕があり木々が植えられていますので、緑を眺めながらゆっくり湯船に浸かりリラックスできそうです。
(玉井さん)
廊下を見て頂けると分かりますが、どうしても抜けない耐力壁がありました。ただ結果的にトイレなどの目隠し的な役割が果たせ、うまい具合にゾーニングができました。
使い方によっては家族写真などを飾ってギャラリー的な使い方もできますね。
あえて作った吹き抜けと位置をずらした階段
(玉井さん)
以前は、現在トイレのあった場所を起点に階段がありました。階段自体の位置を変えることによって玄関の出入りが快適になり、さらに階段の蹴込みをなくすことで吹き抜けと同様に上部に広がりのある空間ができました。吹き抜けの天井にはシーリングファンを取り付けることによって、吹き抜けの室内温度の問題にも対処しています。また1階に床にはガス温水床暖房を設置しました。
2階部分は、南国好きなご主人のアイディアでリゾートの雰囲気を醸し出しました。
2階リビングの隣にあった、もともと2部屋あった場所を一つにし奥様のワーキングスペースにしました。当初壁紙だけの変更予定でしたが、結局、開口部を設け窓を設置し子供の様子を見れるようにしました。
照明は小さな配光角度のダウンライトを設置し、その上部にテープライトを配置しています。シーリングライトで天井部分の空間を塞がないようにしています。
床のフローリングはご主人のこだわりで斜めに貼っています。
トイレの壁紙は奥様がハワイをイメージして購入されたそうですが、実はジャマイカをイメージして作られたというオチが。みんなで大笑いしたそうです。
2階の奥の和室は全く触らない取り決めでしたが、壁紙だけは変更になりました。
少ない予算でのリノベーション
(玉井さん)
もともとは駅近のマンションで暮らしていたご夫婦でしたが、比較的近い場所に築25年の中古物件を購入されました。
最初に依頼されたときは、期間の設定も予算もかなり厳しいものでした。設計期間も短く施工期間もそれほどかけられないので、どのようにすればご家族が快適に過ごせるかを的確に見つけ出すことが最優先事項でした。
暗く端に追いやられたキッチンを明るいリビングを見渡せるように設置し、2×4により抜けない壁をうまく利用し各部屋をゾーニングし、それぞれが存在を確認できるように吹き抜けを作りました。
また、旦那様の要望でもあるリゾート感を出すため2階の天井部分の空間を可能な限り広げました。天井内に隠れていたトラス構造を現しにすることで空間をより広げることができた上、さらに補強をすることで耐震的にも強固になりました。
照明もテープライトと配光角度が狭めなダウンライトを併用することでリゾート感を演出し、もともと6LDKと多すぎる部屋数を使いやすくまとめました。
築年数が25年程度経過している家は、暗く動線も悪くいわゆる昔の家でした。個室が多く水回りが端に追いやられ空間を活かしきれていませんでした。
リノベーション前の写真をご覧ください。どれだけ変化したかお分かりになると思います。
リノベーション後の平面図をご覧ください。今後の参考になれば幸いです。
閑静な住宅街に新たな生活がスタートするリノベーションはどんな感じの家だろうと楽しみにして伺いました。立地はもちろんですが、既存の条件を最大限に活かし切ったリノベーションに、楽しそうな生活を描くことができます。流行りのリノベーションですが、既存構造をさらに強化し将来まで見越した姿に変えるには、長い経験とお施主様への愛情が必要なのでしょうね。
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