三浦 尚人 インタビュー

光が射し込み、風が通り抜ける居心地のいい空間。周りの環境と敷地全体で読み解く唯一無二の住まいを心掛けて設計しています。

一級建築士事務所 三浦尚人建築設計工房 代表 三浦 尚人

経歴は?


生まれは東京です。東海大学工学部建築学科を出ました。ここから秦野市に近いところまで通いました。遠かったですね。駅を降りてからも遠いですし。
小学校の頃から図画工作が好きで、画家さんが主催する絵画教室にも通っていました。油絵も描いたりしてました。建築って、人との関わりと経済的な側面も含めた社会性と、芸術的な側面といった、3つの要素を備えた仕事として魅力を感じましたね。母親の地元が京都で、よく夏休みに行っていました。そこで見た新しい建物から、影響されたのもあるかも知れません。
最初は、大学の先輩が主催している、アトリエ系設計事務所に入りました。ほとんど小さい規模の案件が多かったです。住宅がメインですね。大学の頃の恩師も住宅がメインでした。そういう意味では、住宅メインで仕事をしてきたのかも知れません。そして6年後に独立しました。
最初は、親戚の住宅を手掛けました。福島にある40坪程度の平屋の住宅です。幸いなことに、福島県のコンテストで優秀賞を頂きました。これをステップにと思いましたが、東京で平屋はなかなか贅沢なようで。地方の方が受けがよかったですね。そこからは、紹介して頂いた都内の住宅を機に、だんだんと手掛けていきました。








土地相談も?


よく新聞広告に入っている、土地のチラシなんか見ると、南向きで、角地で、日当たり良好、みたいな謳い文句が多いじゃないですか。ただこれは、不動産会社さんからの一方的な見方という側面もあります。そうではなくて、そういった既成概念を一度取り払って考えてください、とお願いします。北側の道路でも、建物とのバランスが取りやすい場合が多いです。北側斜線のことも含めると、ボリュームも出しやすい。土地自体も更地が一番良いですが、古い空き家の物件でも、解体費用はかかりますが、解体前に2階に上がって眺望も確認できますから、デメリットばかりではないですね。

予算もそうですが、まずは理想の暮らしをある程度想定した上で、土地の予算を決めて欲しいですね。土地ありきで予算を使ってしまい、建築費用が足らない、なんてことは良くあることなんですね。








設計の特徴は?


シンプルでモダンな、中庭のあるコートハウスが得意ですね。飽きのこないデザインで、住む方が意識しないデザインがベストですね。例えば、引き戸一つとっても、取っ手が一つでは、身長差やお子さんがいた時に、どうしてもズレが生じます。だったら、縦いっぱいに彫り込みを入れて対応します。そうすると、どこでも手を掛けられます。コストも掛からないことですし。






都内ですと、建ぺい率が50%程度です。簡単に言うと、大金を出して買った土地の半分は建てられないわけですよ。私は、その建てられない部分を重要視して、有効活用します。家を建てて、残りが庭とカーポートでは少し悲しい。庭といっても、いろいろな活用方法があります。デッキを敷いて本を読んだり、BBQをしたり、中には洗濯物を干したりすることもできます。周りからの視界を遮断できますし、プライバシーの確保ができます。

お客様の要望でも、すべての要望をまるまるそのまま受け入れないようにしています。一度、しっかり検討して提案するようにしています。そのまま受け入れては、バランスもちぐはぐになりがちですし、本来の目的である、住み心地の良い暮らしから遠ざかる可能性もあります。
こういった作りは、都内でも30坪程度で可能ですね。





困ったことは?


困るというか、希望を持って家を建てられるわけですから、柔軟な考え方で進めて頂けると有難いですね。例えば、この家はこういう間取りにすると決めている、というような考え方では、なかなか厳しいものになってしまいます。それと、何でも良いので、こだわりを教えていただければ助かります。何もかもすべてのことをお任せでは、理想の暮らしが見えてきません。例えば、お風呂はこだわっているから、窓から緑が見えるようにしたいとか、対面キッチンが良いなど、そういったこだわりを、言葉足らずでも良いですから伝えて欲しいですね。

そういったことを踏まえて、最初に、住まいづくりのカルテというオリジナル の冊子をお渡ししています。これを書ける範囲で書いて頂いています。あくまでも、理想の暮らしを作っていくための導入口としての資料です。
その上で、基本設計をしっかり計画します。みなさんそうでしょうが、ここですべてが決まります。ここに至るまでの打ち合わせは、結構な回数になることもありますね。決して急がず時間をかけていきます。

最初はリラックスして頂けるように、趣味やライフスタイルの話をなどもしながら、お互い緊張をほぐせればと思っています。








思い入れのある設計は?


狭小住宅ですね。18坪の土地を買われた後に相談に来られたのですが、住み慣れた場所ということでした。小さいお子さんが2人いる4人家族でした。趣味がご夫婦とも映画鑑賞で、理想はシアタールームで見たいということでした。BOSEの5.1chのシステムを入れて鑑賞したい、と希望ははっきりしていました。3階建ての外壁はガルバリウム鋼板で、近未来的な箱型の作りになりました。これも北側でしたが、結果的にボリュームを出せましたし、リビングを防音にしてシアタールームと兼用にして、何とか狭い敷地でも、十分希望を叶えられるものになりました。一度、聴かせてもらいましたが、迫力は満点!スターウォーズを見てると、後ろから宇宙船が通り抜けていきます。楽しかったですね。






目的もはっきりしていましたから、やりやすかったですね。
皆さんにお願いしていますが、家に住まわれる方の全員に、打ち合わせにお越し頂いています。奥さん任せや旦那さん任せでは、上手くいかない場合が多いです。意見がまとまらない場合が多いと思いますが、それでも構いませんから、一緒に作っていって欲しいですね。片方が任せると言っても、やはりどこかで、妥協してしまうことがあります。そうではなくて、皆さんの意見をお聞きしたいですね。キッチンなんか、旦那さんは関心がないかもしれませんが、旦那さんが話に加わることで、普段の家事の仕方や苦労も垣間見えます。







三浦 尚人
一級建築士事務所 三浦尚人建築設計工房 代表
住所:〒177-0041
   東京都練馬区石神井町1-15-16-203
TEL:03-6326-2141

詳しいプロフィール
【編集後記】

練馬区をこよなく愛すデザイナーさん。どこでも自転車で出かけていくフットワークの軽い元気さです。旧態然とした不動産業界の考え方にもしっかりとした軸を持っていて頼りになります。行く度に出して頂いたコーヒーが美味しかった。雨で濡れた体が温まりました。建築家って職人よりの考え方をすることもありますが、人の暖かみが素直に出る人なんだなぁと、帰りの雨の中で思いましたね。

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