柳 勉 インタビュー

『いろいろな情報が氾濫する中で、正しい情報を選択し、オリジナリティーある理想の家を創る』その難しい夢を実現させてゆくことをモットーに。

ブリックス。一級建築士事務所 代表 柳 勉

どういった経歴ですか?


多摩美術大学を出て、再開発コンサルタントの事務所に入りました。会社の中心業務は事業計画でした。建物の設計業務は基本設計までで、実施設計段階はゼネコンに任せるといった業務形態だったので、3年くらいで辞めました。その後、大学の先生の設計事務所に行き、約7年間お世話になりました。住宅と集合住宅の設計がメインで、変わったところではキリスト教会を担当したこともありました。独立してからは、住宅をメインに仕事をしてきました。
独立した当初は、なかなか認知されず依頼は増えていきませんでしたが、インターネット時代に入りホームページを作成してからは、少しずつ受注が増えてきました。





お客様の層は?


一般のお勤めの方が多く、敷地面積が30坪程度の物件が多いですね。年齢的には30から50歳代、お子さんが小学校に上がるタイミングの方が一番多いです。建物の予算は2500から4000万円位ですね。マンションの内装フルリノベーションだと700から1000万円。最近は一戸建ても含めてリノベーション物件が増えています。

お施主様は、最初に来てくれる段階で、ある程度こちらの志向を理解されている方が多いので、どんな暮らしが実現できるかといった事を中心に話がスムーズに進みますね。設計の足掛かりとしては、お施主様の個性をできるだけ聞き出して、その個性を設計に活かせたらと心掛けています。家庭内のパワーバランスも考えながら話を進めたりもします。








ご自身のデザインの特徴は?


もちろんお施主様の好みのデザインをメインに進めていきます。そういう意味では、柔軟に様々なデザインに対応できると思います。
例えば、一口に和風と言っても、モダンなものなのか純和風に近いものなのかという違いもあります。そういった多くの選択肢の中で、よりお施主様の希望を叶えられるものを選択しながら組み立てていきます。その上で、本当に暮らしに求めるものを中心に考えながら設計していきます。






みなさん、デザインの基本イメージはしっかりもっていらっしゃいますが、細かなデザイン部分は、事務所を信頼してお任せの方が多いですね。
この仕事に慣れてくると「これはこういうものだ」と無意識に決めつけてしまっていないかと自問する事があります。ですから例えば、客様がチグハグな意見を言っているなと思う時でも、一度はしっかりと話を受け止める様に心掛けています。意外と新しい発見があったりもしますし、その発想を起点に視野を広げて行くこともあります。
また設計事務所として、お施主さんの意向を聞きつつも、粘り強く説明し納得して頂くこともあります。

以前あった例ですが、お施主様がモダンな家が好きなので、当初、外壁は白が良いと言われました。しかし色々諸条件・イメージを検討した結果、モスグリーンの外壁を提案しました。時間と共に本音で話せるようになると、「じゃあ柳さんがそこまで言うなら」と、提案したモスグリーンの外壁を採用することになりました。建物が竣工し確認した際には、外壁の色を気に入って頂き、「なぜ、今まで外壁を白にしようと考えていたのか自分でも不思議」と言われ、殊の外喜んで頂きました。すべてとは言いませんが、そういったこともありますので、柔軟な姿勢で意見を交わせればと思います。基本にあるのは、お施主様が自分の気に入った家で良い暮らしをする事ですから。








現場のレベル低下も言われていますが?


そうですね。そういった面もあります。今は職人が言われたことしかやらないことが多い。全体を見て自分の仕事をする職人が少ないです。そこで重要なのは、やはり現場監督です。経験の少ない現場監督だと、職人からもいい加減な扱いを受けて、少しずつデザインがずれてしまう。大切なのはいかに良い監督が現場を仕切るかですね。こちらとしても、良い監督と良好な関係をつくっておくことが重要です。現場の人件費が安いのも問題ですよね。コスト管理は重要ですが、賃金カットにつながるような、過度な値段の叩き合いはしたくないです。適正な価格で、良い仕事をみんなでしていきたいですね。





土地などの相談は?


あまりないですが、契約前に一度見て欲しいと言うのはあります。現地を見て、専門家としての意見を言わせて頂いています。ほとんどの場合、どんな制約の中でも工夫をすれば、理想に近いかたちの家を建てられます、そこが設計事務所の腕の見せどころです。ただお施主様としては、購入検討している土地で理想の暮らしを実現できるかどうか、不安な方が多いようですね。








今後の方向性は?


店舗・事務所関連の仕事を増やしたいですね。特に医療系は、設計デザインによる考え方がまだまだ少ないように思います。例えば歯科医院のカウンターも、メラミン合板で仕上げてしまい、安っぽくなっている場合が多いです。一方で治療技術は、高度なものを求めている場合が多いです。全体としての統一感を整えられれば良いですよね。そういった店舗としてのブランディングの統一感も含めて提案できるようにして行きたいです。








柳 勉
ブリックス。一級建築士事務所 代表
住所:〒183-0011
   東京都府中市白糸台4-19-1 丸玉屋小勝ビル405
TEL:042-336-3103

詳しいプロフィール
【編集後記】

優しい人柄がスッと寄り添うような印象の柳さん。その印象とは裏腹に、いい意味での頑固さも併せ持っています。美意識の高さをその振る舞いから感じ取れ、インタビューも和やかな雰囲気で進んでいきました。こんな空気感で打ち合わせしてくれるなら何でも話してしましそう。お施主様も気軽に相談できますね。

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