一級建築士事務所 アトリエスピノザが手がけた
限りある敷地に建てられた吹き抜けが気持ち良い下馬の家
ついに竣工
アトリエスピノザさんが設計・監理した下馬の家が完成し、晴れやかな日のオープンハウスにお邪魔させて頂きました。
前回、伺わせて頂いた中間検査の時は、まだまだ柱と梁などが見えた内装前の状態でした。今では見違えるほど雰囲気のある家になっています。建築面積が10坪程度と比較的小さな面積ですが、窮屈さや暗いといった印象はありません。
玄関を入ると奥にお風呂場と主寝室があります。
こちらはお風呂の内部です。奥行きが少ない代わりに天井を高くしゆっくり落ち着ける空間に仕上がりました。ご主人が厳選したシャワー設備で快適のはずです。塗装はFRPの防水塗装です。この塗装はすごく良いですね。目地がないので浴槽につきもののカビの心配が格段に減ります。
手洗いもお施主様が選ばれたこだわりの品。
寝室に設けられた収納。
吹き抜けと天窓の利点を最大限に活かしたリビングダイニング
家の中央の階段がそれぞれの使い方に適した部屋にスペースを分け、さらに蹴込みのない階段が、すべての空間に視界の広がりと採光を作り出しています。
さらにお施主様のこだわりから、床などには主に檜を使用しています。通常、床などには傷に強い楢などを使うのですが、香りの良い檜を使うことで色合いも非常に明るく仕上がっています。
システムキッチンではなくオーダーメイドで作られたキッチンにもカウンタートップは檜を採用。DIYが好きなご主人がメンテンスをしていきますとのことでした。水栓は蛇口に触れずとも足元にあるスイッチを踏むと水が出る便利なフットスイッチを採用。衛生的で日頃のストレスが軽減されます。
気になる収納部分も天井から棚を、キッチンカウンター下にも確保して十分な容量を確保しています。
リビングには造作された収納がテレビボード代わりになります。
和の雰囲気をまとった小上がりは、寝転がったりできてゆったりとくつろげます。
2階から見た吹き抜けが気持ち良いです。ハウスメーカーなどにオーダーすると天井は途中で切られて平らな屋根に仕上がることが多いです。その方がコストダウンになるからです。しかし見ていただくとお分かりと思いますが、開放感がまるで違います。ほんの少しのことですが、こういったことの積み重ねが暮らしやすさや日々の充実感を感じられる家を作り出していくのです。
個室もしっかり確保
今回の家はいわゆる狭小住宅になりますが、闇雲に部屋を積み上げるだけではありません。お施主様ご夫婦は、今後も含め考えて二つの子供部屋を作りました。子供が大きくなるまでは、個室としていろんな使い方ができそうですね。
そういった将来的なライフプランも考えながら設計するところで設計者の腕が試されます。
屋根の北側斜線にあたる部分を上手く利用して吹き抜けを作り上部空間を広げていますので、占有面積から想像するよりも非常に開放感があり明るい部屋に作られています。吹き抜けを採用することでいつでも家族の存在を感じられるようになり、家庭環境にも良い影響を与えてくれます。
3階の個室ではクローゼットもしっかり確保し、吹き抜けには窓を配置しています。これで容易にリビングダイニング側とコミニュケーションを取ることができます。
光の取り込みをあえて北側に設けることで、直射日光を避け程良い採光になっています。
3階の個室は、南側からもしっかりと日光を取り入れ明るい空間を作っています。
全体を通して
家の真ん中を行き来する階段を中心に玄関と寝室、ダイニングとリビング、個室と個室というように配置されています。階段の蹴込み部分を解放することにより、圧迫感をなくし各部屋からの視界を広げています。また、吹き抜けを北側斜線いっぱいに取り、壁の色を光が反射しやすい白色にすることにより空間の広がりを与えつつ効果的な採光を可能にし非常に明るい空間ができています。
狭小住宅を作る際は採光採風はもとより、十分な収納を確保しつつ空間のボリュームを最大限に活かし作ることが重要というのがわかります。
今後はより設計自体はもちろんですが、施工能力への信頼感が求められていくでしょう。
中間検査で伺った夏の暑い時期と違い、涼しげな日のお昼前でした。到着したと同時に別の内覧の方と一緒になり設計者の伊東さんに引き継ぎました。その方々も決して広くない空間にこれだけの空間を作り出したことに感銘を受けているようでした。ただ単に作るだけ、要望を詰め込むだけの仕事とは違う、思想を感じられる空間は一方通行の仕事からは生まれません。お施主様と設計者と施工者がしっかり連携が取れてこその仕事と再確認しました。
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