東京都世田谷区
発想の原点に古いまちなみがあった。そこでは一つ一つの家自体が、住み手の思いを反映して様々な表情を見せつつ、瓦や木板、漆喰など限られた素材と、共通した構法が全体に落ち着いた統一感をもたらしていた。
一つ一つの多様性を受け止め、全体としての調和を実現していたのである。
そのような世界をこの3つの家で実現できないかと考えた。
そこで共通するルールとして、外装材をガルバリウム鋼板ギングロ色にすることにした。
ギングロ色のもつ静かで重たい表情は、雑多な住宅地の中で存在感を示すに違いない。そして外装材以外は、建主の要望をもとに自由に設計にすることで、自ずと個別の特徴が生まれるであろう。そこから、統一と多様性を合わせ持つ住宅群をめざしていった。
■南の家
四角く、可能な限り単純な形の外観が特徴。2階のリビングは、南側を全面ガラスとし、テレビ、キッチン家電を含め、収納は壁一面に収納したすっきりとおさめている。
外壁はガルバリウム鋼板ギングロ色のスパンドレル貼り。
■北の家
梁が露出した天井の高い2階リビングと、それに続く大きなデッキテラスが特徴。デッキテラスは、屋根で覆い、半屋内の雰囲気の場とし、リビングの延長として、生活に広がりを生み出すスペースとした。
外壁はガルバリウム鋼板ギングロ色の横葺き。
■西の家
落ち着いた色合いの外壁をもつ3つの住宅が完成したとき、この町の一角に静かなたたずまいが生まれることを願っている。
この記事へのコメントはありません。