この家の故郷は、長野県。その地で建っていた古民家が役割を終え解体移築され、この地にやって来た。その後、離れとして使われ、そして、今回家となった。

移築・古民家のリノベーションです。既存の状態でもすでに、古民家の持つ圧倒的な存在感と施主の持つ美的感覚とが上手く混じりあい、非常に面白い空間になっていました。今回の仕事としては、現在の空間の面白さを壊すことなく、家の基本的な快適さと機能を追加して、さらに上のレベルへと導けるかを念頭に置いてプロジェクトを進めました。

リビングダイニングは、圧倒的な存在感のある太い梁が見下ろす吹き抜けになっており、２階部分も空間的に繋がった、大きなワンルームになっています。それに対して寝室などのプライベート空間は水平天井の平屋とし、落ち着きのある空間となっています。

家の配置は中庭形式。家の中からは、自分の家が目隠しとなり、また、外部からアプローチした際も中庭がフィルターとなって雑然とした住宅街に位置しながら、まるでリゾート地にいる様な、自然と一体となった心地の良い空間になりました。

しっかりと作られた建物は、それだけで価値を生み、たとえ場所や使い方が変わっても何度も何度も生かされていく、今回のプロジェクトはその良い例だと思います。