埼玉県
一部平屋建ての2階建てで、平屋部分が明治19年に建設され、その後明治43年に2階建て部分が増築された。全体で桁行11.5間、梁間4.5間の東西に長い建物となっている。
敷地は大きなバイパス道路が通り、市街地が進む地域ではあるが、周辺には田園風景が残っており、自然環境に恵まれた立地である。敷地内には主屋の他、蔵2棟、納屋、倉庫が建っている。家督を継いだ若い施主と姉が2人で住まう。将来家族が増えることを想定した改修内容とした。
私達はまず通風採光を阻害していた増築部分を撤去し、生活動線の見直しを行った。家族の動線と来客の動線を分け、生活動線を集約することで、現代の生活様式に適したプランを再構築した。主空間となる大きな吹抜けのある居間は、1・2階の南面障子から入る柔らかい光が床梁を包み込む印象的な空間となっている。また気密性を向上させると同時に南北に通風を確保することで、極力機械設備に頼らずに生活できる設えとした。平屋部分は書院・床の間のある格式高い座敷二間で構成されており、日本の伝統的な意匠をそのまま保存している。
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