千葉県
全体の規模としては桁行9間、梁間5間と大きく、上層農家の家格を持つ民家だと考えられる。
敷地は山地丘陵地に囲まれ、周辺は緩やかな傾斜地形を呈している。自然環境に恵まれた立地で、東側は斜面となっており、その先には畑が広がる。敷地内には主屋の他、長屋門、納屋、作業小屋、離れがある。施主は敷地内の離れで住んでおり、この主屋には施主の母と長男夫婦が暮らす。
築年数の浅い増築屋を活かすことが条件であった。増築屋は台所・食事室・浴室・洗面所で構成されている。私達はまず錯綜している動線を見直し、主屋と増築屋との接続位置やを変更した。玄関を入ると大きな吹抜け空間であるホールが見える。吹抜けからは民家特有の梁組が望むことができる。吹抜け上部には通風と採光を目的としたハイサイド窓が南北に設置されている。動線処理空間であると同時に民家の魅力を見せる空間とした。また利用されていなかった書院・床の間のある奥の間を、座敷西側に移動し、12.5畳の二間続きの部屋とすることで、利用率の向上を図った。間取りの変更により行き場を失った2組の欄間は縁側へ場所を移し外観を彩っている。
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