山本 浩三 インタビュー

社会性、経済性、施工性、そしてデザイン性を持つ建築を提供し、「人」と「建築」との関係を良好にします。

株式会社 山本浩三建築設計事務所 代表 山本 浩三

建築家になった経緯は?


京都精華大学のデザイン学部建築学科をでました。高校の頃に進路を考えた時、技術などの点数が良かったので建築の方に進学しました。ちょうどその頃に、京都の伏見にあった高松伸さんの作品を見て、興味を引かれていました。
大学3年生の時のオープンデスクで、初台にあった建築家米田明さんの事務所にお世話になり、模型などを作らせてもらいました。その頃は、仕事という感覚はまだまだ漠然としていました。就職では組織事務所も受けていましたが、結局、米田さんの事務所に就職しました。

アトリエでは、主に模型作りをしていました。しばらくして住宅を一棟任されました。初めて最初から最後まで担当したのですが、何か燃え尽きてしまい、事務所を辞めました。

それで、今までデザインしか学んでいませんので、設計や施工などを経験しようと考えました。それで、フリーのドラフトマンとして1年半ほど働いていました。慣れてきた頃に、安藤建設が元請けの、特養ホームの設計を、現場常駐で任されました。幸運にも、その時の副所長にずいぶん可愛がられました。
それで今度は安藤建設として、わりと大きな現場に常駐するようになりました。その後、その副所長の勧めもあり、建築士の免許を取ることになりました。






それから2年で一級建築士を取得し独立しました。
独立後は、多くのネットコンペに応募しましたが、ことごとくダメでした。
それでも何とか仕事をしなければいけませんので、以前からの仕事の施工図面書きや、小さな案件をこなしながら苦しい時代を耐えていました。
プライベートでは、33歳で結婚し子供も生まれましたが、まったくお金がありませんでした。これではいけないと思い、住宅の仕事を獲得しようと、不動産会社に営業に回りました。そのときたまたま見つけた不動産会社に、旗竿地の設計を頼まれ図面を書きました。提出したFAXが偶然社長の目に留まり、これは今までの設計より格段に良いとなり、すぐに呼び出されコンサルティング契約を結ぶことになり危機を脱出できました。以来、法人営業の建売住宅と個人の注文住宅のデザインの二本柱で、事業を進めることにしました。ただ、どちらも中途半端というわけではなく、しっかりと棲み分けをして、事業として確立していくようにしました。そうしなければ両方の依頼主に対して失礼になります。
法人営業で事業基盤を支え、個人のお客様に対してはクリエイティブな部分を重視しています。どちらかに比重が偏り過ぎるとダメです。法人営業に偏り過ぎるとデザイン性が乏しくなり、個人住宅に重点を置き過ぎると、経営的に危うくなります。それは結局、お客様に迷惑をかけてしまうことになります。








お客様とのコミュニケーションは?


お客様はある程度HPなどを見ていらっしゃっていますので、ひどく相性が悪いということはないですが、できる限りゆっくり時間をかけてお話を聞くようにしています。お客様は設計に対する思いを、なかなか具体的な言葉にできないことが多いので、ライフスタイルや趣味などをお聞きして、そこから最初のご提案をさせて頂きます。
やはり最初のご提案が大事だと思います。一度、事務所に来られてファーストプランをご提示する際に、伺った要望をただ単に詰め込むのではなく、その先というか、要望を上回るものを提示しないといけないと思っています。そうすることで、お客様も「自分たちのことをちゃんと見てくれている」と安心することができると思います。

例えば、スノーボードが趣味のお客様から依頼された場合、要望がなくても、駐車場はボードがおろせるスペースや、機材を整理する作業スペースを確保し、そこからリビングなどへの導線をスムーズにします。そういった要望の奥を感じ取り、形にしていくことが重要と考えています。





デザインで大事にしていることは?


自分がどうのではなく、お客様の要望が一番大切です。時間はかかりますが、何回も打ち合わせを重ねながら、お客様の要望のその先まで汲み取ることが大事だと思っています。当たり前のことを当たり前にすることです。住宅は、土地や周辺環境に合った建て方というものがあります。例えば角地であれば、二面に窓は欲しいです。そこに格好良いからといって、壁で仕切るみたいなことはしません。陽当たりが悪くなりますし、コストも上がってしまう場合があります。








建売り住宅のデザインもされていますね。


一般的に建売り住宅は、お客様のライフスタイルまで考えた設計にそれほどなっていない場合が多いです。そこを私たちが設計することによって、より暮らしやすい快適な住宅を提供できると考えています。不動産会社とのパートナーシップで実現しています。建売り住宅の設計料というのは、実はひどく安価ですが、私たちが介在することで、より価値のある住宅ができ、設計料も正規の価格に近いもので頂戴できる。デザインした建売り住宅に関わるすべての人にメリットがあります。






現在弊社では、宅地建物取引士を取得し仲介業務をスタートさせています。
その点では、土地探しも十分ご協力させて頂けます。ローンに関しては金融機関などのご紹介をさせて頂ければと思います。
建売り住宅に関しても、実際に設計した者がご案内してご説明していけば、しっかりご納得いただけることと思います。





今後の展開は?


個人の住宅に対して、アフターフォローのさらなる充実もできればと考えています。ただあまり大きな目標はというのはありません。どちらかというと、いまある環境にしっかり向き合いたいですね。








山本 浩三
株式会社 山本浩三建築設計事務所 代表
住所:〒151-0073
   東京都渋谷区笹塚1-40-6 sino sasazuka 1F
TEL:03-6407-1500

詳しいプロフィール
【編集後記】

独立後の道を自ら切り開いてきたというお話からは、あまり想像できない穏やかな話ぶり。ゆっくりとオフレコ話をしながら、時間の許す限りお付き合い頂きました。設計者としての芸術性と会社経営という相反するものを維持してこられたストーリーからある種のこだわりが見え隠れしていました。

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