06桜坂の家

シャープな形に黒いガルバリウム鋼板の外壁が印象的な住宅です。

東京都大田区

南に建つ共同住宅や周囲の状況からプライバシーに配慮し、建物の外形は閉じ、内にレベルの異なる2つのルーフバルコニーを配しました。 メインとなる2階LDKは、勾配屋根なりに広がる空間と階段上部の吹抜け、ルーフバルコニーとのつながりなどにより、変化に富んだ構成になっています。

【施主様からのご感想】

<桜坂の家> 施主様より
2013 年 4 月 30 日に竣工引き渡しを終えた我が家の設計・施工管理をお願いすることになる U 建築設計室 の臼井さんとの出会いは 2011 年 11 月 6 日にホームページの「お問い合わせ」から送信した一通のメール からでした。
<臼井さんとの出会い>
2011 年 3 月 11 日東北地方を襲った大震災の影響で不動産業界は冷え込み、消費税も増税を視野に検討 が進む中、マンション入居時と家族構成が変わり、自由度が高いとはいえマンションリフォームには限界が あることから徐々に一戸建て ( 特に注文住宅 ) への憧れが強くなり、「決断するなら今しかない」と渋る妻を 説得し具体的に土地を探し始めたのは 8 月に入ってからでした。 同時に夢を託す建築家を探し始めたの ですがその条件は「個人住宅の設計が仕事の中心」、「私達夫婦と同年代」、「夫婦で仕事をしている若しくは 女性スタッフによるアドバイスが受けられる」、「事務所は自宅から交通の便がいい所にある」、「デザインの 押し付けではなく施主の意向を理解し反映してくれる」この 5 点でした。
11 月に運命の土地に出会い、それまでインターネット・雑誌等でピックアップしていた数名の建築家の 方とお会いさせていただく中で、夫婦ともに第一印象で「ビビッ!」ときた臼井夫妻に我が家の命運を託す ことを決めるのにそれほど多くの時間を必要とはしませんでした。
<設計期間> 臼井さんとの打ち合わせはいつも熱が入り予定時間をオーバーしてしまい、随分迷惑をかけたように思います。 また、打ち合わせ後は必ず議事録を残し互いの記憶違いや連絡ミスをなくすよう心掛けました。 面倒くさい 作業にも関わらず、臼井さんが快諾してくれたおかげでコミュニケーション不足を感じることはありません でした。
設計に関して私達夫婦が臼井さんに望んでいたことは ( 某テレビ局の「建もの探訪」に出てくるような家 に憧れは無かったと言えばウソになりますが)、建築家が趣味で設計したようなそこで生活している人の姿が イメージできないような家に住むことではなく、私達夫婦の細かいリクエストに対応いただきつつそれをよ り合理的且つ優れたデザインで表現頂きたいというものでした。 イメージを伝えるための手段としては雑誌 の切り抜きからインターネットの画像検索まで可能な限りビジュアル化できる物を用意しました。 私達からすれば逆に設計の中に臼井さんらしさが消えてしまうのではないかとも思いましたが、建物全体 が仕上がると完全にそれはデザインが調和された臼井さんの作品に仕上がっていました。 中でも秀逸なのは 2階リビングダイニングキッチンの設計でした。 我が家は敷地の関係上、東西に細長い建物で、十分な耐震性能(耐風圧も含む)を確保する為に構造計算 上必要な耐力壁と梁をどのようにデザインできるのかという点でした。 今後長期に渡って住み続ける家の事 を考えると数ヵ所必要な所に、耐力壁と梁を入れることで解決するのですがそれでは空間的な拡がりがなく なってしまいます。 結果、機能性を損なうことなく住人の生活を考えてくれた臼井さんの巧みな設計により 室内に一切梁が出てこないという、豊かな空間を提供いただきました。 細部まで空間にこだわりを見せた臼井さんの提案によりキッチンには下引きレンジフードを採用し、アイ ランドキッチンに勝るとも劣らない開放感を得ることが出来ました。 設計の打ち合わせが進むにつれ気になるのが引き渡し時期とトータルコストでした。 実際当初の予定通り にプランは進まなかったのですが、その結果に不満はなく設計に妥協を許さない臼井さんと議論を重ねるこ とで私達の想像を超える家に住むことが出来たと思います。 特にリクエストを好きなだけ盛り込んだ我が家 の最初の見積もりは予定額を一度引き上げたにもかかわらずかなりオーバーしていたのですが、臼井さんの メリハリの利いたコストコントロールは秀逸で住宅性能を損なうコストダウンに踏み込むことはなくほぼ全 ての希望を満たしながら予算内に収めてしまうという離れ業でした。
<施工管理> 我が家の施工は宮大工の創業者が起業して百年以上の歴史を誇る「江中建設」にお願いをしました。 建築 家の物件を手掛けるという点においては多くの実績をお持ちの建設会社でしたが臼井さんにとっては初めて お付き合いをする建築会社ということでした。 この点において感じていた不安は、臼井さんが担当現場監督 の茨木さんと絶妙なコンビネーションを取って対応してくださったことですぐに払拭されました。 実際、図面では問題無いように見えても現場で細かい修正 / 指示を余儀なくされる場面に何度か遭遇しま した。 しかし、臼井さんの的確な指示により現場での混乱は一切なく、施工管理の部分に於いても随所に臼 井さんなりのこだわりを感じることが出来ました。 また、設計段階で十分打ち合わせを詰めていたつもりが、施工途中にも関わらず臼井さんには再三にわた る無理なリクエスト(仕様変更)に対応いただきました。 中でも設備関係では TOTO のハーフユニットバ スに深い思い入れがあります。 このハーフユニットバスは設計当初から入れる予定だったのですが、まさに 江中建設との契約日に新製品の発売情報を知り、現物を確認できない中で仕様変更をお願いした為に施工行 程の変更だけではなく、設置手順についてもまだマニュアルのない中で現場対応をお願いいただくという離 れ業をしていただきました。仕事から戻ってきて一人で湯船につかってぼんやりしていると其の時のやり取 りが思い出され、臼井さんの住宅にかける情熱なくしてはあり得なかっただろうと感謝の念に堪えません。 また、我が家の浴室を施工事例として TOTO のカタログに載せていただく事が出来たのもいい思い出となり ました。
<住んでみて>
竣工引き渡しは 2013 年 4 月末でしたがその後も外構工事や一部残った屋内工事を経て実際、新居での生 活のスタートはその1か月後で、我が家はもうすぐ1年点検を迎えます。 集合住宅が隣に在り、隣家との距離が短い都市型密集地に於いて、外部からの視線を切るため、一見採光 部分が殆ど無いように見える外観デザインでありながら燦々と光が降り注ぐ室内。 既にそこで数年の生活を 経て適切な位置に配されたようにミリ単位で計算されたデザインに最初の出会いがあってよかったと心から 感動せずにはいられません。 最後になりますが1年以上に亘り、私達の夢の実現にお付き合いいただき、私達夫婦の我が儘(リクエスト) にいつも真剣に取り組み、最高の形で実現いただいた臼井夫妻に対して感謝の念に堪えません。 U 建築設計 室のホームページに出会えたことこそが最大の成功と思っています。 竣工引き渡しを終えた今、やり遂げたという充実感と共にそれまでの濃密な臼井さんとの電話・メール・ 打ち合わせ等によるコンタクトが無くなった空虚感とも戦っております。 ただこれが我が家の最終形とは 思っておりません。 その意味ではこれからも我が家を末永く見守っていただきたいと思います。

工事規模 敷地面積:115.96㎡ / 建築面積:62.41㎡ / 延床面積:122.91㎡
構造 木造・地上2階建て
竣工時期 2013年4月
予算 -万円
施工会社 江中建設
用途 住居
設計デザイナー 臼井徹

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